5疾病5事業(5疾病6事業)
【概要】5疾病5事業とは?わかりやすく解説
【ひと言で簡単に説明】
5疾病5事業とは、何ですか?
5疾病5事業とは、簡単に言うと「安心して暮らすために、どんな地域でも受けられるべき医療10選」です。
【重要ポイント3選】
5事業には含まれませんが、在宅医療も併記されています。
2024年度に施行される第8次医療計画からは「新興感染症」も追加されます。
【練習問題】
平成24(2012)年の「医療法施行規則」の改正で、新たに医療計画に記載することとなった疾患はどれか。
看護師国家試験 第100回 AM-086 (2011/平成23)
- 1:統合失調症
- 2:糖尿病
- 3:精神疾患
- 4:慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 解答を見る
-
- 1:統合失調症
- 誤り。
- 「統合失調症」や「うつ病」は「精神疾患」に含まれています。いやらしい選択肢ですが、5疾病5事業はキッチリ丸暗記しましょう!
- 2:糖尿病
- 誤り。
- 「糖尿病」はもともと5疾病に含まれています。
- 3:精神疾患
- 正しい。
- 4:慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 誤り。
- 「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」も確かに重要な疾患ですが、5疾病には含まれていません。
- 1:統合失調症
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【オリエンテーション】
5疾病5事業は医療?介護?福祉?
5疾病5事業は医療・介護・福祉のどの分野の用語ですか?
5疾病5事業は医療分野の用語です!
医療制度の中での位置付け
5疾病5事業は医療分野でどんな位置付けですか?
5疾病5事業は、医療計画の中で定められています!
医療計画は、都道府県が少なくとも6年に1回作成しています!医療計画には次の事項が記載されています!
- 医療計画
- 5疾病5事業および在宅医療
- 二次医療圏、三次医療圏
- 地域医療構想
- など
【解説】詳しい説明でしっかり理解
各論
5疾病5事業について、もっと詳しく教えてください!
5疾病5事業とは、医療計画に反映されている特定の疾病、事業のことです!具体的には以下の通りです!
5疾病
- がん
- 脳卒中
- 心筋梗塞等の心血管疾患
- 糖尿病
- 精神疾患
5疾病は患者数、死亡者数が多い疾病です!
5事業
- 救急医療
- 災害時医療
- 小児医療
- 周産期医療
- へき地医療
5事業は、医療提供体制の確保が必須とされている医療事業です!ただし、大阪府など一部の都道府県では「へき地」が存在しないため、へき地医療を除いた4事業となっています!
補足1:在宅医療
5事業には含まれていませんが、最近では在宅医療も医療計画上の重要事業として推進されています。このため、「5疾病・5事業および在宅医療」としてまとめて表現されることも多くなっています。
医療法の条文上、5事業で1つの項目、在宅で1つの項目として記載されています!
第三十条の四 都道府県は、(略)「医療計画」を定めるものとする。
医療法第30条
- 2 医療計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
- (略)
- 五 次に掲げる医療の確保に必要な事業(以下「救急医療等確保事業」という。)に関する事項(ハに掲げる医療については、その確保が必要な場合に限る。)
- イ 救急医療
- ロ 災害時における医療
- ハ へき地の医療
- ニ 周産期医療
- ホ 小児医療(小児救急医療を含む。)
- ヘ イからホまでに掲げるもののほか、都道府県知事が当該都道府県における疾病の発生の状況等に照らして特に必要と認める医療
- 六 居宅等における医療の確保に関する事項
補足2:6事業
令和6年度(2024年度)からは、「新興感染症等の感染拡大時における医療」が5事業に追加されます。そのため、第8次医療計画では「5疾病・6事業および在宅医療」に改正されます。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、感染症対策が追加されました!
覚え方
5疾病5事業の具体的内容を覚えやすいようにゴロを作ったので参考にしてください!
【ゴロ】能登が軋んだ!首相救済へ!
- 能:脳卒中
- 登:糖尿病
- が:がん
- き:急性心筋梗塞(今は心筋梗塞等の心血管疾患)
- しんだ:精神疾患
- 首:周産期医療
- 相:小児医療
- 救:救急医療
- 済:災害時医療
- へ:へき地医療
意義
5疾病5事業は何のために決められたのですか?
5疾病5事業は、「いつでもどこでも安心して医療を受けられること」を目指して設定されています!
5疾病とは
5疾病:「広範かつ継続的な医療の提供が必要と認められる疾病」
具体的な考え方
- 患者数が多く国民に広く関わるもの
- 死亡者数が多いなど政策的に重点が置かれるもの
- 症状の経過に基づくきめ細やかな対応が必要なもの
- 医療機関の機能に応じた対応や連携が必要なもの
例として、「精神疾患」の中の「うつ病」を考えてみましょう!
- 患者数が多く国民に広く関わるもの
- うつ病を含む気分障害は、100万人以上の患者さんがいて、年々増加していると言われています。国を挙げての対策が必須なのは、皆さんの肌感覚とも一致するのではないでしょうか。
- 死亡者数が多いなど政策的に重点が置かれるもの
- うつ病などを原因とする自殺は年間2万人を超えています。データによっては3万人を超えるとするものもありますが、いずれにしても数万人単位で命を落とす精神疾患は、対策必須です。
- 症状の経過に基づくきめ細やかな対応が必要なもの
- うつ病の原因はまさに千差万別です。治療についても、治療法や薬の種類、通院頻度など人によって異なります。重症な場合は入院治療が必要なケースもあります。
- 医療機関の機能に応じた対応や連携が必要なもの
- 体の不調で内科を受診し、精神科や心療内科へ紹介されるケースもあります。さらにその後、より専門的な病院等へ紹介が進むことがあります。高血圧などの生活習慣病や基礎疾患の治療はかかりつけの内科で行い、精神疾患は精神科等で治療を行う場合、医療機関同士の連携も重要となります。
他の「がん・脳卒中・心筋梗塞等の心血管疾患・糖尿病」についても、上記4つの視点からぜひ一度考えてみてください!
5事業とは
5事業:「医療の確保に必要な事業(「救急医療等確保事業」)」
具体的な考え方
- 医療を取り巻く情勢から政策的に推進すべき医療
- 医療体制の構築が、患者や住民を安心して医療を受けられるようになるもの
例として、「周産期医療」の中の「出産」を考えてみましょう!「周産期」とは「出産の周りの時期」なので、産前産後のお母さんとお腹の中の赤ちゃんに関わる医療のことです!
- 医療を取り巻く情勢から政策的に推進すべき医療
- 医学部を卒業して医師になるドクターにとって、産婦人科の人気が下がっています。過酷な労働環境や医療裁判のリスクを懸念していると言われています。「医師の働き方改革」や「産科医療補償制度」など、国を挙げての対策が進んでいます。少子化が進んでいるので、患者数が減る分野へ進むことをためらうケースもあるようです。少子化は壮大なテーマですが、それを支える周産期医療も重要は政策課題と言えるでしょう。
- 医療体制の構築が、患者や住民を安心して医療を受けられるようになるもの
- 妊娠しても安心して赤ちゃんを産める病院がないと、夫婦としては住みにくいですよね…出産の前後は実家近くで過ごす方も多いかと思いますが、今住んでいる土地で良い産科の病院があるに越したことはないですよね。病院が産科から撤退すると、その地域での少子化は一層進んでしまうでしょう。
他の「救急医療・災害医療・へき地医療・小児医療」についても、上記2つの視点からぜひ一度考えてみてください!
問題点
5疾病5事業に問題点はありますか?
5疾病5事業の問題点は採算が取りにくいことです!そのため、公的病院にその役割が期待されています!
しかし、近年では医療資源不足を理由として撤退していく公的病院もあり、社会保障上の問題となっています…
そこで、医療計画の中で、政策的に推進していくべき事業として定めることで、全ての都道府県で住人が安心して医療を受けられる体制の構築を目指しています!
診療報酬での評価
採算が取りにくいのにどうやって推進しているんですか?
これには、診療報酬上の加算が大きな役割を果たしています!
5疾病5事業は診療報酬において、地域医療係数として地域医療への貢献として評価されます!ただし、この加算は医療計画に記載されたDPC医療機関でないと受けられないため注意が必要です!
まとめ
5疾病5事業は、「いつでもどこでも安心して医療を受けられること」を目指して設定されています!具体的には、以下の通りです!
- 5疾病
- がん
- 脳卒中
- 心筋梗塞等の心血管疾患
- 糖尿病
- 精神疾患
- 5事業
- 救急医療
- 災害時医療
- 小児医療
- 周産期医療
- へき地医療
採算の取りにくい医療分野ですが、全ての住民が安心して暮らせるように、公的病院を中心として提供されています!
【データ】数値で現状を確認
死因別死亡者数
- 1位:悪性腫瘍(がん):約38万人
- 2位:心疾患(急性心筋梗塞含む):21万人
- 3位:老衰:約15万人
- 4位:脳血管疾患(脳卒中):約10万人
【定義】
- タップで確認
-
都道府県は、基本方針に即して、かつ、地域の実情に応じて、当該都道府県における医療提供体制の確保を図るための計画(以下「医療計画」という。)を定めるものとする。
- 詳しく見る
-
2 医療計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
- 一 (略)
- 二 (略)
- 三 (略)
- 四 生活習慣病その他の国民の健康の保持を図るために特に広範かつ継続的な医療の提供が必要と認められる疾病として厚生労働省令で定めるものの治療又は予防に係る事業に関する事項
- 五 次に掲げる医療の確保に必要な事業(以下「救急医療等確保事業」という。)に関する事項(ハに掲げる医療については、その確保が必要な場合に限る。)
- イ 救急医療
- ロ 災害時における医療
- ハ へき地の医療
- ニ 周産期医療
- ホ 小児医療(小児救急医療を含む。)
- ヘ イからホまでに掲げるもののほか、都道府県知事が当該都道府県における疾病の発生の状況等に照らして特に必要と認める医療
- 六 居宅等における医療の確保に関する事項
Q
【Q&A】5疾病5事業(5疾病6事業)に関するよくある疑問・質問まとめ【FAQ】
- 5疾病5事業に最後に追加された項目は何ですか?
-
「精神疾患」です。
2013年度〜2017年度の第6次医療計画で、4疾病5事業に追加となりました。
看護師国家試験のダミー選択肢として「統合失調症」が出されました。(100回AM86)うつ病、統合失調症、認知症などをトータルして精神疾患が追加となっています。
なお、2024(令和6)年度開始の第8次医療計画では、「新興感染症等の感染拡大時における医療」が追加され、5疾病6事業となる予定です。
- 「急性心筋梗塞」は無くなったのですか?
-
第7次医療計画(2018年/平成30年)の時に「急性心筋梗塞」から「心筋梗塞等の心血管疾患」へ名称変更されました。
- 「心筋梗塞等の心血管疾患」の代表疾患
- 虚血性心疾患
- 急性心筋梗塞
- 狭心症
- 心不全
- 急性心不全
- 慢性心不全
- 大動脈疾患
- 急性大動脈解離
- 虚血性心疾患
元々の「急性心筋梗塞」よりも広い範囲をカバーしています。
- 「心筋梗塞等の心血管疾患」の代表疾患
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医師国家試験
地域保健医療について正しいのはどれか。
医師国家試験 第116回 C-05 (2022/令和4)
- a:特定健診・特定保健指導は事業主が行う。
- b:肺がん検診では判定に二重読影が行われる。
- c:地域包括支援センターは都道府県が設置する。
- d:医療法に基づく5疾病5事業には高血圧が含まれる。
- e:PSAによるがん検診は対策型がん検診において推奨されている。
- 解答を見る
-
- a:特定健診・特定保健指導は事業主が行う。
- 誤り。
- b:肺がん検診では判定に二重読影が行われる。
- 正しい。
- c:地域包括支援センターは都道府県が設置する。
- 誤り。
- d:医療法に基づく5疾病5事業には高血圧が含まれる。
- 誤り。
- e:PSAによるがん検診は対策型がん検診において推奨されている。
- 誤り。
- a:特定健診・特定保健指導は事業主が行う。
看護師国家試験
災害医療について正しいのはどれか。
看護師国家試験 第107回 AM-067 (2018/平成30)
- 災害拠点病院は市町村が指定する。
- 医療計画の中に災害医療が含まれる。
- 防災訓練は災害救助法に規定されている。
- 災害派遣医療チーム(DMAT)は災害に関連した長期的な医療支援活動を担う。
- 解答を見る
-
- 災害拠点病院は市町村が指定する。
- 誤り。
- 市町村ではなく「都道府県」が指定する。
- 医療計画の中に災害医療が含まれる。
- 正しい。
- 防災訓練は災害救助法に規定されている。
- 誤り。
- 「災害対策基本法」に規定されている。
- 災害派遣医療チーム(DMAT)は災害に関連した長期的な医療支援活動を担う。
- 誤り。
- 災害派遣医療チーム(DMAT)は災害に関連した短期的(48時間程度)に医療支援活動を担う。「長期的な・・・」ではない。
- 災害拠点病院は市町村が指定する。
平成24(2012)年の「医療法施行規則」の改正で、新たに医療計画に記載することとなった疾患はどれか。
看護師国家試験 第100回 AM-086 (2011/平成23)
- 1:統合失調症
- 2:糖尿病
- 3:精神疾患
- 4:慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 解答を見る
-
- 1:統合失調症
- 誤り。
- 「統合失調症」や「うつ病」は「精神疾患」に含まれています。いやらしい選択肢ですが、5疾病5事業はキッチリ丸暗記しましょう!
- 2:糖尿病
- 誤り。
- 「糖尿病」はもともと5疾病に含まれています。
- 3:精神疾患
- 正しい。
- 4:慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- 誤り。
- 「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」も確かに重要な疾患ですが、5疾病には含まれていません。
- 1:統合失調症
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