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医療制度

基準病床数

jun
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【概要】基準病床数とは?わかりやすく解説

【ひと言で簡単に説明】

基準病床数とは、何ですか?

たいが
たいが

基準病床数とは、簡単に言うと「地域ごとに決められる、入院用ベッド(病床)の上限数」です。

りゅう
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病床びょうしょう」=「入院用ベッド」

【重要ポイント3選】

ポイント1
医療計画に書いてある.
ポイント2
一般・療養病床は二次医療圏で設定.
ポイント3
ほとんどの地域で基準病床数<既存病床数.

【練習問題】

基準病床数について正しいのはどれか。

  • a:医師法で規定される。
  • b:入院患者の平均在院日数が短い医療圏ほど増加する。
  • c:大半の医療圏において実際の病床数を上回っている。
  • d:各医療圏における保険医数の上限を決める基準となる。
  • e:療養病床と一般病床とは二次医療圏ごとに算定される。
医師国家試験 第101回 B-04 (2007/平成19)
Q
解答を見る
  • a:医師法で規定される。
    • 誤り。
    • 医師法ではなく「医療法」です。
  • b:入院患者の平均在院日数が短い医療圏ほど増加する。
    • 誤り。
    • 短いではなく「長い」です。
  • c:大半の医療圏において実際の病床数を上回っている。
    • 誤り。
    • 上回っているではなく「下回っている」です。
  • d:各医療圏における保険医数の上限を決める基準となる。
    • 誤り。
    • 医師数ではなく病床数。
  • e:療養病床と一般病床とは二次医療圏ごとに算定される。
    • 正しい。
Q
詳しい解説
  • a:医師法で規定される。
    • 誤り。
    • 医師法ではなく「医療法」です。「病床」は病院そのもの運営に関わるため、医療法の守備範囲です。
  • b:入院患者の平均在院日数が短い医療圏ほど増加する。
    • 誤り。
    • 短いではなく「長い」です。患者さんの退院が遅れるほど、新たな患者さんを受け入れられなくなるので、その分多くの病床が必要となります。
  • c:大半の医療圏において実際の病床数を上回っている。
    • 誤り。
    • 上回っているではなく「下回っている」です。個人クリニックの新規開業はよく見かけますが、大きな病院の新規建設や増築は滅多に見ないと思います。「実際の病床数(既存病床数)>基準病床数」が成り立っているためです。
  • d:各医療圏における保険医数の上限を決める基準となる。
    • 誤り。
    • 保険医数ではなく「病床数」であれば、「×」とは言えない選択肢でした。(「医療圏」の捉え方が曖昧なため。)そもそも、ドクターの人数を制限するルールはありません。医学部の定員は決まっていますが、卒業後は都会の病院へ就職するドクターも多いです。医師の地域偏在問題の1つの要素とはなりますが、「保険医数の制限」は現実的ではありません。きっとドクターの方々も嫌がるでしょう。
  • e:療養病床と一般病床とは二次医療圏ごとに算定される。
    • 正しい。
    • 医療法で定められている病床は①一般②療養③精神④結核⑤感染症の5種類でした。この中で、一般病床と療養病床のウエイトが圧倒的なので、二次医療圏(市町村5つ分ほどの範囲)ごとに算定(計算する)します。残りの精神病床、結核病床、感染症病床も確かに重要な病床ですが、数は多くないので都道府県単位で考えても十分というわけです。

【具体例】イメージを掴む

大阪府

大阪府では、全ての二次医療圏で、

基準病床数<既存病床数

となっており、病床過剰なのがわかります!

りゅう
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引用:第7次大阪府医療計画(2018 年度~2023 年度)P64

青森県

青森県の上十三医療圏と下北医療圏のみ、

基準病床数>既存病床数

となっており、病床不足なのがわかります!

りゅう
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引用:青森県保健医療計画 P101

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りゅう
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【解説】詳しい説明でしっかり理解

病院が入院ベッド(病床)を増やしたいとき、「都道府県知事」の「許可」が必要になります。このとき、すでにその地域の病床(既存病床数)が十分にあれば、病床を増やす必要がないと判断されて、許可が降りません。

この判断の元となる病床数のことを「基準病床数」と言います。

基準病床数制度は、病床過剰地域から非病床過剰地域へ病床を移動することを通して、病床数の地域的偏在を是正し、全国的に一定水準以上の医療を確保することを目的としています。病床数は、その病床種別毎(一般病床、療養病床、精神病床、感染症病床、結核病床)に算定されています。

「既存病床数」が「基準病床数」を超える地域(病床過剰地域)では、病院開設・増床を許可されません。現状、過半数の2次医療圏で「既存病床数」が「基準病床数」を上回っています。

病床数の算定式は、下記の通り(どこまで詳しく書くかはしっしょ任す)。注意すべき点は、病床数は退院率に比例し、病床利用率に反比例している点です。これは、ほとんどの人にとって感覚と逆の設定だと思います。退院する人が多いなら病床はいらないし、逆に病床利用が高いなら病床はたくさん必要なはずだからです。しかし、ここには「ベッドを占有したまま全然退院しないのは不健全な状態である」という政府の思惑が反映されており、こうした状態を避けるため、意図的に算定式が先述したように設定されています。

大阪府医療計画・地域医療構想ページより

必要病床数から基準病床数へ

時系列

1985年
第1次医療法改正(1986年施行)

「必要病床数」というワードが登場!

2000年
第4次医療法改正(2001年施行)

「必要病床数」が「基準病床数」へ名称変更

2014年
第6次医療法改正(同年施行)

「地域医療構想」のスタートにあたり「将来の病床数の必要量」というワードが登場。長いのでみんな「必要病床数」と呼ぶようになる!

【データ】数値で現状を確認

日本の全病床数は平成22年で約160万床。

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002nakz-att/2r9852000002naq4.pdf

【定義】

Q
タップで確認

全国一律の算定式により、都道府県が設定する病床数(地域で整備する病床数の上限)

厚生労働省『第8回 第8次医療計画等に関する検討会(令和4年5月25日)』資料より

【Q&A】基準病床数に関するよくある疑問・質問まとめ【FAQ】

Q
「基準病床数」と「既存病床数」の違いは?
Q
「基準病床数」と「必要病床数」の違いは?

基準病床数は「医療計画を立てた時点で必要な病床数」で、必要病床数は「2025年に必要な未来の病床数」です。

「必要病床数」は厚生労働省による公式な文書では「病床数の必要量」と表記されます!実は、最初は基準病床数という言葉はなく、必要病床数と表記されていました。2000年の第4次医療法改正のときに、必要病床数は基準病床数へ名称変更されました。そして、必要病床数という言葉はもう使えないので「将来の病床数の必要量」という新しいワードを登場させて、長いのでみんなが「必要病床数」と言い直している現状です。ややこしいですね!

Q

【関連キーワード】

【参考サイト】

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000130335.pdf

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000zc42-att/2r9852000000zc7d.pdf

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002nakz-att/2r9852000002naq4.pdf

厚生労働省『第8回 第8次医療計画等に関する検討会(令和4年5月25日)』

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000946893.pdf

基準病床について:第3回医療計画の見直し等に関する検討会
日医総研:基準病床数と病床数の必要量等の関係について

【ドラマ・漫画】

【国試対策】国家試験の過去問解説

資格試験の過去問で知識を整理しましょう!試験対策にもお役立てください!

りゅう
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医師国家試験

医療計画に含まれないのはどれか。

  • a:監察医の確保
  • b:救急医療の確保
  • c:基準病床数の設定
  • d:二次医療圏の設定
  • e:地域医療支援病院の整備
医師国家試験 第109回 B-18 (2015/平成27)
Q
解答を見る
  • a:監察医の確保
    • 正しい。(含まれない。)
  • b:救急医療の確保
    • 誤り。(含まれる。)
  • c:基準病床数の設定
    • 誤り。(含まれる。)
  • d:二次医療圏の設定
    • 誤り。(含まれる。)
  • e:地域医療支援病院の整備
    • 誤り。(含まれる。)
Q
解答を見る
  • a:監察医の確保
    • 正しい。(含まれない。)
    • 根拠法は死体解剖保存法です。
  • b:救急医療の確保
    • 誤り。(含まれる。)
    • 「救急医療の確保」は、まさに5疾病5事業の1つなので、医療計画の内容です。
  • c:基準病床数の設定
    • 誤り。(含まれる。)
    • 医療計画の記載事項の中心は「5疾病5事業・病床数」です。病床を1つでも増やすのであれば、その分だけ医師や看護師が必要となります。貴重なエッセンシャルワーカーを無駄にスタンバイさせるわけにはいかないため、病床の数はある程度の上限を設定して行政がコントロールする必要があります。そのため、人口規模などの数値データから入院ベッド数のMAX、すなわち基準病床数を設定することは、医療計画の重要な論点の1つです。
  • d:二次医療圏の設定
    • 誤り。(含まれる。)
    • 5疾病5事業を提供するため、ちょうど区切りのよい地域を決めることこそが「二次医療圏の設定 」です。広すぎても狭すぎてもダメです。ちなみに、都道府県は47(三次医療圏は52)、二次医療圏は335、市町村数は1,718あります。単純計算で各都道府県に7つの二次医療圏があり(335÷47≒7)、5つの市町村で1つの二次医療圏を構成します(1,718÷335≒5)。暗記する必要はないですが、このような概数を抑えておくことは理解する上でも大切です。
  • e:地域医療支援病院の整備
    • 誤り。(含まれる。)
    • 地域医療支援病院は「救急車の主なの受け入れ先」と「大学病院ほどではないけど、紹介が必要な患者さんへの医療」がメインの役割です。できれば二次医療圏に1箇所はほしいので、医療計画でも記載されています。令和3年10月時点で633病院あり、二次医療圏は335あります。多くの二次医療圏には地域医療支援病院がありますが、例えば沖縄県の「宮古二次医療圏(宮古島市・多良間村)」には地域医療支援病院はありません。

基準病床数について正しいのはどれか。

  • a:医師法で規定される。
  • b:入院患者の平均在院日数が短い医療圏ほど増加する。
  • c:大半の医療圏において実際の病床数を上回っている。
  • d:各医療圏における保険医数の上限を決める基準となる。
  • e:療養病床と一般病床とは二次医療圏ごとに算定される。
医師国家試験 第101回 B-04 (2007/平成19)
Q
解答を見る
  • a:医師法で規定される。
    • 誤り。
    • 医師法ではなく「医療法」です。
  • b:入院患者の平均在院日数が短い医療圏ほど増加する。
    • 誤り。
    • 短いではなく「長い」です。
  • c:大半の医療圏において実際の病床数を上回っている。
    • 誤り。
    • 上回っているではなく「下回っている」です。
  • d:各医療圏における保険医数の上限を決める基準となる。
    • 誤り。
    • 医師数ではなく病床数。
  • e:療養病床と一般病床とは二次医療圏ごとに算定される。
    • 正しい。
Q
詳しい解説
  • a:医師法で規定される。
    • 誤り。
    • 医師法ではなく「医療法」です。「病床」は病院そのもの運営に関わるため、医療法の守備範囲です。
  • b:入院患者の平均在院日数が短い医療圏ほど増加する。
    • 誤り。
    • 短いではなく「長い」です。患者さんの退院が遅れるほど、新たな患者さんを受け入れられなくなるので、その分多くの病床が必要となります。
  • c:大半の医療圏において実際の病床数を上回っている。
    • 誤り。
    • 上回っているではなく「下回っている」です。個人クリニックの新規開業はよく見かけますが、大きな病院の新規建設や増築は滅多に見ないと思います。「実際の病床数(既存病床数)>基準病床数」が成り立っているためです。
  • d:各医療圏における保険医数の上限を決める基準となる。
    • 誤り。
    • 保険医数ではなく「病床数」であれば、「×」とは言えない選択肢でした。(「医療圏」の捉え方が曖昧なため。)そもそも、ドクターの人数を制限するルールはありません。医学部の定員は決まっていますが、卒業後は都会の病院へ就職するドクターも多いです。医師の地域偏在問題の1つの要素とはなりますが、「保険医数の制限」は現実的ではありません。きっとドクターの方々も嫌がるでしょう。
  • e:療養病床と一般病床とは二次医療圏ごとに算定される。
    • 正しい。
    • 医療法で定められている病床は①一般②療養③精神④結核⑤感染症の5種類でした。この中で、一般病床と療養病床のウエイトが圧倒的なので、二次医療圏(市町村5つ分ほどの範囲)ごとに算定(計算する)します。残りの精神病床、結核病床、感染症病床も確かに重要な病床ですが、数は多くないので都道府県単位で考えても十分というわけです。

医療法に基づく医療計画で定められている事項として誤っているのはどれか。

  • a:1次医療圏の設定
  • b:2次医療圏の設定
  • c:基準〈必要〉病床数の設定
  • d:医療提供施設の整備の目標
  • e:救急医療の確保
医師国家試験 第98回 G-05 (2004/平成16)
Q
解答を見る
  • a:1次医療圏の設定
    • 誤り。
  • b:2次医療圏の設定
    • 正しい。
  • c:基準〈必要〉病床数の設定
    • 正しい。
  • d:医療提供施設の整備の目標
    • 正しい。
  • e:救急医療の確保
    • 正しい。
Q
詳しい解説
  • a:1次医療圏の設定
    • 誤り。
    • 前提として、「医療圏」と言われたら基本的には「二次医療圏」を指します。一次医療圏は市区町村とほぼ同義で、エリアが狭いのでほとんど使うシーンがありません。逆に三次医療圏は都道府県そのものを指し、北海道だけ例外で6つに分かれています。つまりエリアが広すぎて、これも使うシーンがほとんどありません。ちょうど区切りが良いのが二次医療圏であり、裏を返すと「どのように区切りのいいエリア設定をするか」が医療計画の大切な論点となります。よって「1次医療圏の設定」はバツです。
  • b:2次医療圏の設定
    • 正しい。
    • 5疾病5事業を提供するため、ちょうど区切りの良い地域を決めることこそが「二次医療圏の設定 」です。広すぎても狭すぎてもダメです。ちなみに、都道府県は47(三次医療圏は52)、二次医療圏は335、市町村数は1,718あります。単純計算で各都道府県に7つの二次医療圏があり(335÷47≒7)、5つの市町村で1つの二次医療圏を構成します(1,718÷335≒5)。暗記する必要はないですが、このような概数を抑えておくことは理解する上でも大切です。
  • c:基準〈必要〉病床数の設定
    • 正しい。
    • 医療計画の記載事項の中心は「5疾病5事業・病床数」です。病床を1つでも増やすのであれば、その分だけ医師や看護師が必要となります。貴重なエッセンシャルワーカーを無駄にスタンバイさせるわけにはいかないため、病床の数はある程度の上限を設定して行政がコントロールする必要があります。そのため、人口規模などの数値データから入院ベッド数のMAX、すなわち基準病床数を設定することは、医療計画の重要な論点の1つです。
  • d:医療提供施設の整備の目標
    • 正しい。
    • まず、医療提供施設とは、医療法第1条の2で「病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、調剤を実施する薬局その他の医療を提供する施設」とされています。医療計画での意味合いとしては、5事業(周産期・小児・救急・災害・へき地)を担う医療機関の目標数値を指します。例えば大阪府の第7次医療計画の9ページを見ると、「大阪DMATを3チーム以上保有する災害拠点病院数」を目標19病院とし、平成24(2012)年度11病院だったところ、平成28年(2016)年度には18病院まで改善したことが記載されています。ちなみに、大阪府には「へき地」がないため、あえて「5疾病4事業」と記載されています。各都道府県ごとに必要な医療体制や、それに伴う施設・人材が違うという分かりやすい例です。
  • e:救急医療の確保
    • 正しい。
    • 5疾病とは「がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患」で、5事業とは「周産期医療、小児医療、救急医療、災害医療、へき地医療」です。ここに「在宅医療」を加えるのが一般的です。5事業の1つである「救急医療」は、医療計画で定めるものの代表例と言えます。

看護師国家試験

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