地域医療構想
【概要】地域医療構想とは?わかりやすく解説
【ひと言で簡単に説明】
地域医療構想とは、何ですか?

地域医療構想とは、簡単に言うと「2025年までに、病院のベッド数と役割をベストな状態に整理整頓する計画」です。

【重要ポイント3選】
【練習問題】
地域医療構想について誤っているのはどれか。
医師国家試験 第114回 C-01 (2020/令和2)
- a:2025年の医療需要を推計する。
- b:医療計画の一部として策定する。
- c:構想区域は都道府県単位である。
- d:病床の必要量を病床の機能別に推計する。
- e:地域医療構想会議には医療保険者も参加する。
- 解答を見る
-
- a:2025年の医療需要を推計する。
- 正しい。
- b:医療計画の一部として策定する。
- 正しい。
- c:構想区域は都道府県単位である。
- 誤り。
- d:病床の必要量を病床の機能別に推計する。
- 正しい。
- e:地域医療構想会議には医療保険者も参加する。
- 正しい。
- a:2025年の医療需要を推計する。
- 詳しい解説
-
「cが明らかにバツ!」と判断して正解したい問題です。a,bは正しいと判定したいですが、d,eは難しいと思います。
- a:2025年の医療需要を推計する。
- 正しい。
- 2025年には、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となります。つまり、医療が必要となるお年寄りが増えるため、「その時までに医療をどうするべきか?」という問題を考える必要があります。いわゆる「2025年問題」です。
- b:医療計画の一部として策定する。
- 正しい。
- c:構想区域は都道府県単位である。
- 誤り。
- 原則、二次医療圏単位である。
- 二次医療圏は、2~5程度の市町村からなる。
- 三重県のみ、構想区域と二次医療圏が不一致。
- d:病床の必要量を病床の機能別に推計する。
- 正しい。
- ここで言う「病床の機能」とは以下の4つを指します。2022年医師国家試験(E-09)で直接問われた論点のため、念の為暗記しましょう。
- 高度急性期
- 急性期
- 回復期
- 慢性期
- e:地域医療構想会議には医療保険者も参加する。
- 正しい。
- 医療保険者とは、患者さんが払う自己負担額(主に3割)の残り7割を病院などに送金する組織です。お財布を管理している人たちとイメージすると良いでしょう。
- 医療とお金の問題は切っても切り離せません。よって、地域の医療を考える上では、お財布を管理している人たちの意見も重要です。
- a:2025年の医療需要を推計する。
【具体例】イメージを掴む
- 三重県 地域医療構想 第1部総論 4構想区域
-
地域医療構想の検討を行うため、まず構想区域の設定を行う必要があります。
構想区域とは、人口構造の変化や医療提供施設等の配置状況の見通し等を考慮して、一体の区域として地域における医療機能の分化・連携を推進することが相当であると認められる区域を単位として設定するものです。
また、厚生労働省の地域医療構想策定ガイドラインにおいて、構想区域の設定にあたっては、現行の二次医療圏を原則としつつ、あらかじめ、人口規模、患者の受療動向、疾病構造の変化、基幹病院までのアクセス時間の変化など、将来における要素を勘案して検討する必要があるとされています。
患者の病態に応じた医療機能区分(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)との関係については、高度急性期は診療密度が特に高い医療を提供することが必要となるため、必ずしも当該区域で完結することを求めるものではありませんが、急性期、回復期および慢性期については、できるだけ区域内で対応することが望ましいとなっています。
本県においては、南北に長い地勢を有し、一定の人口規模を持つ都市がほぼ長軸方向に分散して存在すること、地域医療構想は在宅医療など、より地域に密着した医療のあり方にかかる議論が求められることから、現行の二次保健医療圏(北勢、中勢伊賀、南勢志摩、東紀州) をベースとして、8つの地域を「地域医療構想区域」として設定しています。
三重県 地域医療構想 第1部総論 4構想区域 より一部抜粋


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【書籍・参考書】おすすめ本を紹介
地域包括ケアを基本から勉強できるテキストです!

ちょっとスパイシーな切り口ですが、とても勉強になります!

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【解説】詳しい説明でしっかり理解
地域医療構想とは、医療資源の適切な分配を行い、将来の医療需要に対応するための試みです。日本では、超高齢社会が進行し続けており、地域ごとに医療問題が生じています。これを解決するため、病床の機能分化と、病床を含む医療資源の適切な分配を行っています。
「地域医療構想」は「受験勉強」に似ています!例えば、2年後に医学部に受かりたいとします。使える時間は決まっていますから、効率良く勉強したいところです。ゲームは減らした方が良さそうですね(病床削減)。数学と英語はかなり手厚く勉強すべきです(機能分化)。

地域医療構想スケジュール
地域医療構想が一旦完結するのは、2024年度〜2029年度の第8次医療計画の序盤です!その頃には上手く病床転換は進んでいるのでしょうか?見守っていきましょう!

4つの病床機能
地域医療構想が目指す機能分化された病床とは次の4つを指します。
- 高度急性期
- 急性期
- 回復期
- 慢性期
2022年の医師国家試験でダイレクトに問われました!

地域医療構想で用いられる病床機能区分に含まれないのはどれか。
医師国家試験 第116回 E-09 (2022/令和4)
- a:高度急性期
- b:急性期
- c:亜急性期
- d:回復期
- e:慢性期
- 解答を見る
-
- a:高度急性期
- 正しい。
- b:急性期
- 正しい。
- c:亜急性期
- 誤り。
- d:回復期
- 正しい。
- e:慢性期
- 正しい。
- a:高度急性期
現状では、各医療機関の病床機能報告によると、図のように、病床機能とそこに入院する患者の状態との間にミスマッチが生じていることが多々あります。

こうしたミスマッチを解消するための指針が地域医療構想です。将来的な医療需要を予測し、適切な医療資源の分配を目指しています。地域医療構想は、都道府県が主体となって策定する医療計画の一部であり、原則二次医療圏単位で考えられています。
地域医療構想を実現するため、構想区域毎に地域医療構想会議が設けられており、ここで識者を含めて協議が行われます。この協議に基づき、都道府県は地域医療介護総合確保基金を活用して、医療機関の機能分化・連携を促進します。
*補足
医療法的には、高度急性期、急性期、回復期の3つが一般病床、慢性期が療養病床に分類されます。具体的機能は以下の通りです。
病床機能報告 | 医療法の病床区分 |
---|---|
高度急性期 | 一般病床 |
急性期 | |
回復期 | |
慢性期 | 療養病床 |
高度急性期機能
急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能
急性期機能
急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、医療を提供する機能
回復期機能
急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能
特に、急性期を経過した脳血管疾患や大腿骨頚部骨折等の患者に対し、ADLの向上や在宅復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に提供する機能(回復期リハビリテーション機能)。
慢性期機能
長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能
長期にわたり療養が必要な重度の障害者(重度の意識障害者を含む)、筋ジストロフィー患者又は難病患者等を入院させる機能
病床機能報告制度
構想区域
地域医療構想の「構想区域」とは、何ですか?

都道府県が地域医療構想を考える際に、区切り良くエリア分けされた地域のことです。
地域医療構想は医療計画の一部です。そのため、医療計画で定められる二次医療圏と原則一致しています。しかし、2022年4月時点で、三重県のみ、4つの二次医療圏に対して8つの構想区域があります。

地域医療構想策定ガイドライン
地域医療構想策定ガイドラインとは、なんですか?

都道府県が地域医療構想を策定する際、参考にするよう厚生労働省が作成した指針です。
作成にあたって、有識者による「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」が9回にわたって開催されました。
皆さんが都道府県知事だとします。いきなり国から「2025年問題が心配です。よし!各都道府県は地域医療構想を作ってください!」と言われても困りますよね。地域医療構想の設計図となるようなものを国が用意する必要があります!法律の制定から約9ヶ月でガイドラインがまとまり発表となりました!

地域医療構想策定ガイドラインの背景
まず、地域医療構想のもととなる法律ができました。
法律についての考え方が発表されました。
ガイドラインを作るため、有識者会議が始まりました。
熱いディスカッションが行われました。
ガイドラインがまとまりました。
「地域医療構想策定ガイドライン」発表このガイドラインを参考に、各都道府県が地域医療構想を策定しました。
都道府県知事による対応
都道府県知事にも権限が与えられます!ガイドラインの中身に沿って、意訳して例をご紹介します!

- 病院・有床診療所の開設・増床等への対応
- 病院が病床を増やそうとした時、その地域で「回復期」が不足していれば、「回復期の病床ならいいよ」と条件をつけることができる。
- 既存医療機関が過剰な病床の機能区分に転換しようとする場合の対応
- 「どうしてわざわざ足りている病床を増やそうとするの?」と理由を書面で提出させることができる。その理由が不十分なときは「ちょっと地域医療構想調整会議に顔出して説明して!」と求めることができる。
- 「地域医療構想調整会議」で揉めた場合、さらに「都道府県医療審議会」で説明を求めることができる。
- それでも「過剰な病床をさらに増やす理由がない!」と判断されれば、公的医療機関には中止の命令を、それ以外の医療機関には中止の要請をすることができる。
- 地域医療構想調整会議における協議が調わない等、自主的な取組だけでは不足している機能の充足が進まない場合の対応
- 「都道府県医療審議会」にご意見伺った後で、
- 公的医療機関には命令を、
- それ以外の医療機関には要請をすることができる。
- 「都道府県医療審議会」にご意見伺った後で、
- 稼働していない病床への対応
- 病床が過剰な地域にも関わらず、使っていない休眠病床を持っている病院があれば、、、
- 公的医療機関にはその病床の削除の命令を、
- それ以外の医療機関には要請をすることができる。
- 病床が過剰な地域にも関わらず、使っていない休眠病床を持っている病院があれば、、、
【データ】数値で現状を確認
【定義】
- タップで確認
-
「2025年の医療需要と病床の必要量」と「目指すべき医療提供体制を実現するための施策」について、都道府県が医療計画の中で策定する構想
厚生労働省 資料- 第二節 医療計画
- 都道府県は、基本方針に即して、かつ、地域の実情に応じて、当該都道府県における医療提供体制の確保を図るための計画(以下「医療計画」という。)を定めるものとする。
- (略)(5疾病5事業などが記載されている)
- 七 地域における病床の機能の分化及び連携を推進するための基準として厚生労働省令で定める基準に従い定める区域(以下「構想区域」という。)における次に掲げる事項を含む将来の医療提供体制に関する構想(以下「地域医療構想」という。)に関する事項
- イ 構想区域における厚生労働省令で定めるところにより算定された第三十条の十三第一項に規定する病床の機能区分ごとの将来の病床数の必要量(以下単に「将来の病床数の必要量」という。)
- ロ イに掲げるもののほか、構想区域における病床の機能の分化及び連携の推進のために必要なものとして厚生労働省令で定める事項
「地域医療構想」は「医療計画」の一部なので、根拠法は「医療法」と言えます!しかし、制度推進のきっかけは、2014年制定の「医療介護総合確保推進法」ですので、こちらも関係が深いです!マニアックな知識ですが「看護師国家試験」で問われたことがあるため、念の為記載しました!

【Q&A】地域医療構想に関するよくある疑問・質問まとめ【FAQ】
- 都道府県ごとの地域医療計画は、どのように確認すれば良いですか?
-
各都道府県の「医療計画」の中盤あたりに「地域医療構想」の章があります。下記のリンクより、ご興味ある都道府県の医療計画をご確認ください。
また、Google検索などで「都道府県名 地域医療構想」と検索することで、都道府県が公表している中間進捗の状況などを確認できるケースがあります。合わせてご確認ください。
各都道府県の医療計画ページへのリンク集
【関連キーワード】
【参考サイト】
https://solasto-career.com/media/185492/
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000131927.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000711472.pdf
【ドラマ・漫画】
【国試対策】国家試験の過去問解説
資格試験の過去問で知識を整理しましょう!試験対策にもお役立てください!

医師国家試験
地域医療構想で用いられる病床機能区分に含まれないのはどれか。
医師国家試験 第116回 E-09 (2022/令和4)
- a:高度急性期
- b:急性期
- c:亜急性期
- d:回復期
- e:慢性期
- 解答を見る
-
- a:高度急性期
- 正しい。
- b:急性期
- 正しい。
- c:亜急性期
- 誤り。
- d:回復期
- 正しい。
- e:慢性期
- 正しい。
- a:高度急性期
地域医療構想について誤っているのはどれか。
医師国家試験 第114回 C-01 (2020/令和2)
- a:2025年の医療需要を推計する。
- b:医療計画の一部として策定する。
- c:構想区域は都道府県単位である。
- d:病床の必要量を病床の機能別に推計する。
- e:地域医療構想会議には医療保険者も参加する。
- 解答を見る
-
- a:2025年の医療需要を推計する。
- 正しい。
- b:医療計画の一部として策定する。
- 正しい。
- c:構想区域は都道府県単位である。
- 誤り。
- d:病床の必要量を病床の機能別に推計する。
- 正しい。
- e:地域医療構想会議には医療保険者も参加する。
- 正しい。
- a:2025年の医療需要を推計する。
- 詳しい解説
-
「cが明らかにバツ!」と判断して正解したい問題です。a,bは正しいと判定したいですが、d,eは難しいと思います。
- a:2025年の医療需要を推計する。
- 正しい。
- 2025年には、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となります。つまり、医療が必要となるお年寄りが増えるため、「その時までに医療をどうするべきか?」という問題を考える必要があります。いわゆる「2025年問題」です。
- b:医療計画の一部として策定する。
- 正しい。
- c:構想区域は都道府県単位である。
- 誤り。
- 原則、二次医療圏単位である。
- 二次医療圏は、2~5程度の市町村からなる。
- 三重県のみ、構想区域と二次医療圏が不一致。
- d:病床の必要量を病床の機能別に推計する。
- 正しい。
- ここで言う「病床の機能」とは以下の4つを指します。2022年医師国家試験(E-09)で直接問われた論点のため、念の為暗記しましょう。
- 高度急性期
- 急性期
- 回復期
- 慢性期
- e:地域医療構想会議には医療保険者も参加する。
- 正しい。
- 医療保険者とは、患者さんが払う自己負担額(主に3割)の残り7割を病院などに送金する組織です。お財布を管理している人たちとイメージすると良いでしょう。
- 医療とお金の問題は切っても切り離せません。よって、地域の医療を考える上では、お財布を管理している人たちの意見も重要です。
- a:2025年の医療需要を推計する。
都道府県による地域医療構想において検討すべき内容に含まれないのはどれか。
医師国家試験 第112回 F-27 (2018/平成30)
- a:医療提供体制
- b:保健所の配置
- c:医療従事者の確保・養成
- d:医療需要の将来推計
- e:病床の機能分化推進
- 解答を見る
-
- a:医療提供体制
- 誤り。(含まれる。)
- b:保健所の配置
- 正しい。(含まれない。)
- c:医療従事者の確保・養成
- 誤り。(含まれる。)
- d:医療需要の将来推計
- 誤り。(含まれる。)
- e:病床の機能分化推進
- 誤り。(含まれる。)
- a:医療提供体制
看護師国家試験
地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律〈医療介護総合確保推進法〉で推進するのはどれか。2つ選べ。
看護師国家試験 第109回 AM-086 (2020/令和2)
- 子育て世代包括支援センター
- 地域包括ケアシステム
- 子ども医療費の助成
- 地域生活支援事業
- 地域医療構想
- 解答を見る
-
- 子育て世代包括支援センター
- 誤り。
- 地域包括ケアシステム
- 正しい。
- 子ども医療費の助成
- 誤り。
- 地域生活支援事業
- 誤り。
- 地域医療構想
- 正しい。
- 子育て世代包括支援センター
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